更年期の倦怠感はじわじわきますよね。
やらなきゃいけないことは山積みにあるのに、なぜか気力が湧かない。
昔は当たり前にできていた仕事や家事が億劫で、そんな自分に戸惑っている方も多いのではないでしょうか。
40代から50代にかけての私たちは、ただでさえ忙しいのに、体の変化も重なって本当に大変です。
でも、どうか自分を責めないでください。
サプリや薬に頼るのも一つですが、まずは日々の生活の中で自分を少しだけ甘やかしてあげることから始めてみませんか。
ベッドから起き上がれない朝、スーパーで献立が決まらず立ち尽くした夕方。
そんな「どん底」のような気力のなさから、どうやって少しずつ浮上してきたのか、私なりの工夫をまとめました。
なお、この記事はあくまで私個人の体験談であり、医学的なアドバイスではありません。
体調に不安がある方は、必ず専門医にご相談ください。
- 更年期特有の「やる気が出ない」原因と心の持ちようについて
- 家事や仕事を無理なく乗り切るための「手抜き」のコツ
- 辛い時期を支えてくれる食事や癒やしグッズの実体験レポート
- 家族への伝え方や婦人科受診を考えた際のエピソード
気力が湧かない更年期の自分を認める

「やらなきゃいけないのに体が動かない」。
そんなジレンマに苦しんでいた私が、自分の状態をどう受け入れ、家族や医療とどう向き合っていったのかをお話しします。
まずは、この「得体の知れない不調」の正体を自分なりに理解するところから始まりました。
なぜ?気力が湧かない原因を考える

私の場合、最初は単なる「疲れ」だと思っていました。
「週末に少し寝だめすれば治るだろう」と高を括っていたのです。
でも、いくら寝ても疲れが取れないし、以前なら楽しかった趣味のガーデニングや読書にも全く興味が湧かない。
「これって更年期?それともうつ病?」と不安になってスマホで検索魔になる日々が続きました。
ホルモンバランスと自律神経の関係を学ぶ
いろいろと本や信頼できるサイトで調べていくうちに、一般的に更年期と呼ばれる時期には、女性ホルモン(エストロゲン)が急激に減少することが知られていると学びました。
専門家の解説によると、このエストロゲンの減少に対して脳(視床下部)が過剰に反応してしまい、その結果として自律神経のバランスが乱れやすくなるそうです。
自律神経は心身のアクセルとブレーキを調整する重要な機能ですから、ここが乱れると「意欲が湧かない」「気分が落ち込む」といった精神的な症状が出ることもあるのだとか。
厚生労働省のサイトでも、更年期障害の症状の一つとして精神神経症状が挙げられており、決して珍しいことではないようです。
また、自律神経との関連については、国立の研究機関でも詳しく解説されており、
ホルモンの変化が心と体にどう影響するのかが分かります。
私も不安で調べていた頃、このページが役に立ちました。
(参考:日本産科婦人科学会|更年期障害(公式)
※専門団体なので、内容が落ち着いて読めます。)
「他の病気」の可能性も忘れない
ただ、ここで一つ注意が必要だと感じたのは、「何でもかんでも更年期のせいにしない」ということです。
気力が湧かない症状は、甲状腺の病気やうつ病、貧血など、他の病気でも起こりうると知りました。
自己判断で「どうせ更年期だから」と決めつけるのは危険です。
私も「もし症状が改善しなければ、すぐに専門医に診てもらおう」と決めていました。
私が調べた限りでは、以下のような症状がある場合は、更年期以外の疾患が隠れている可能性もあるそうです。
- 急激な体重の増減がある、首の腫れを感じる(参考:日本内分泌会)
- 「死にたい」と思うほどの強い絶望感がある、日常生活が全く送れない
これらのサインがある場合は、迷わず医療機関を受診してください。
もし、心の辛さがどうしても消えない時は、公的な相談窓口を利用するのも一つの手です。
一人で抱え込まないでくださいね。
(参考:厚生労働省『まもろうよ こころ(相談窓口一覧)』)
料理も掃除も億劫な時の正直な気持ち

正直に告白しますと、スーパーで食材を選ぶことすら苦痛な日がありました。
野菜売り場の前で「今日の夕飯何にしよう」と考えるだけで、頭に靄がかかったように重くなり、動悸がしてくることさえあったんです。
「家族の健康のためにバランスの良い食事を」なんて考える余裕はゼロでした。
家事のハードルを徹底的に下げる
家の中も荒れていきました。
以前は毎日かけていた掃除機も、今は3日に1回、いや週末だけになれば良い方。
部屋の隅に埃が溜まっているのを見ても、「まあ、死ぬわけじゃないし」と見て見ぬふりをする自分がいました。
洗濯物が山になっていても、畳む気力が湧かずに山から直接服を取って着る始末。
以前の私なら「主婦失格だ」「だらしない」と落ち込んでいたかもしれません。
実際、最初の頃は罪悪感でいっぱいでした。
でも、ある日プツンと糸が切れたように思ったんです。
「今日はそういう日なんだ」と。
私が倒れてしまったら、それこそ家庭が回りません。
「自分を守るための戦略的撤退」だと思うことにしました。
「完璧」を手放す勇気
今は意識的に割り切るようにしています。
料理を作りたくない日は、お惣菜でも冷凍食品でも何でも頼ればいい。
部屋が多少散らかっていても、お母さんがイライラして怒鳴り散らすより、ニコニコ(あるいはボーッと)している方が、家族にとっても平和なはずです。
そう開き直るのには勇気が要りましたが、自分を守るためには必要な「手放し」でした。
最近は、便利な宅配弁当サービスなども活用して、物理的に家事の時間を減らすようにしています。
「怠け」ではなく不調だと気づいた日

「怠け」と「不調」の境界線って難しいですよね。
自分でも「これって甘えなんじゃないか?」と疑ってしまうことがあります。
私が「これは明らかにおかしい、ただの怠けじゃない」と気づいたのは、ある朝の出来事がきっかけでした。
朝、体が鉛のように重い
その日は休日で、十分に睡眠時間はとれていました。
でも、目が覚めた瞬間に絶望感に襲われたんです。
体が鉛のように重く、指一本動かすのも億劫。「起き上がらなきゃ」と頭ではわかっているのに、体と心が完全に分離しているような感覚で、ベッドから起き上がるのに30分以上もかかりました。
「あ、これは気合でどうにかなるレベルじゃない」。
そう悟った瞬間でした。
好きなテレビ番組を見ても笑えない、美味しいはずのコーヒーが泥水のように感じる。
これは明らかに「休息が必要な状態」であり、意志の力でどうこうできる問題ではありませんでした。
体の声を無視しない
もし今、あなたが自分を「怠け者」だと責めているなら、一度立ち止まって体に耳を傾けてみてください。
「休みたい」「眠りたい」「何もしたくない」。
それはもしかしたら、体が発している強烈なSOS(休息要求)かもしれません。
そのSOSを無視して走り続けると、本当に動けなくなってしまいます。
私が感じた「怠け」と「不調」の違い
- 怠け:「やりたくないけど、やろうと思えばできる」「楽しいことなら動ける」
- 不調(更年期の気力低下):「やりたいのに、体が動かない」「楽しいはずのことにも興味が湧かない」
あくまで私の感覚ですが、この「楽しいことすらできない」というのが一つの判断基準になりました。
家族に「辛い」と伝える私の工夫

家族、特に夫や子供に更年期の辛さを伝えるのはハードルが高いですよね。
目に見える怪我があるわけでもないし、熱があるわけでもない。
「ただの機嫌が悪い人」「ヒステリックなおばさん」と思われたくなくて、最初は一人で我慢していました。
でも、私が我慢して無理をして、結果的にイライラして家族に当たってしまっては本末転倒です。
限界が来て爆発してしまうより、冷静な時に伝える方が絶対に良いと気づきました。
「閉店ガラガラ」システムの導入
私が実践して効果があったのは、ユーモアを交えて今の状態を宣言することです。
深刻な顔をして「話があるの…」と切り出すと家族も身構えてしまうので、我が家では「今日はお母さん、エネルギー切れのため閉店ガラガラです!」と宣言する日を作りました。
「閉店なら仕方ないか」と、夫も子供も案外すんなり受け入れてくれます。
この「閉店宣言」が出たら、夕飯は各自でなんとかする、家事はしない、という暗黙のルールを作ったのです。
伝え方のポイント
もちろん、真面目に話すことも大切です。
その時に気をつけたのは以下の3点です。
私が実践した伝え方のポイント
- 主語を「体」にする:「あなたたちのせいでイライラする」のではなく、「体の変化でホルモンが暴れていて辛い」と伝える。
- 具体的なリクエストをする:「察して」は禁物。「洗濯物を畳んでほしい」「今日は放っておいてほしい」と具体的に頼む。
- 期間限定であることを匂わせる:「一生こうなわけじゃない。今はこういう時期だから協力して」と希望を持たせる。
婦人科受診を迷った私の判断基準

「病院に行くべきかどうか」これってすごく迷いますよね。
「これくらいで病院に行っていいのかな?」「更年期ですね、で終わらされたらどうしよう」「内診が怖いな」など、ネガティブな想像ばかりしてしまって。
私が最終的に受診を決めたのは、「日常生活に明らかな支障が出たとき」でした。
私の場合、「動悸がして会議に集中できない」「夜中に何度も目が覚めて、翌日の仕事中ずっと眠い」という状態が1週間続いた時、「これはプロの手を借りないと生活が回らない」と腹をくくりました。
受診してよかったこと
実際に受診してみると、先生は私の話を淡々と、でも丁寧に聞いてくれました。
血液検査でホルモン値を測ってもらい、「典型的な更年期の症状ですね」と言われた時、ショックというよりは「やっぱりそうか」という安堵感が大きかったです。
私の場合は、漢方薬を処方してもらうことになりました。
もちろん、ホルモン補充療法(HRT)などの選択肢もありましたが、先生と相談して自分に合う方法を選べたのが良かったです。
劇的にすぐ治るわけではありませんが、「治療をしている」という事実が心の支えになりました。
「迷ったらプロに頼ろう」。
美容院に行くような感覚で、もっと早く相談に行けばよかったなと今では思います。
これはあくまで私個人の体験(N=1)です。
(参考:公益社団法人 日本産科婦人科学会『更年期障害』)
気力が湧かない更年期に私が試したモノ

「頑張らない」と決めた私が、日々の生活を少しでも快適にするために頼ったアイテムたちを紹介します。
これらは医学的な治療法や解決策ではありませんが、私の沈んだ気持ちを少しだけ浮上させてくれた、大切なお守りのような存在です。
薬膳スープを生活に取り入れた感想

「食べるものが体を作る」とは言いますが、気力がない時に栄養バランスを考えた献立なんて作れません。
そこでたどり着いたのが薬膳スープでした。
「薬膳」と聞くと、特別な生薬が必要で難しそうに聞こえますが、私が実践したのは、あくまで「薬膳の考え方」を取り入れた自己流のスープです。
伝統的な「食の知恵」を借りる
中医学(伝統中国医学)には、「食養生」という考え方があります。
私が本で読んで面白いなと思ったのは、食材の色に関する考え方です。
「黒い食材(黒豆や黒ごまなど)」は生命力の源である『腎』を養い、「赤い食材(クコの実やナツメなど)」は気力と血を補うとされているそうです。
科学的なエビデンス云々というよりは、「昔からの知恵にあやかってみよう」という気持ちで取り入れました。
作り方は本当に適当です。
鍋に手羽元(ダシが出る)と、スーパーで買った蒸し黒豆、ネットで買ったクコの実とナツメ、そして生姜をたっぷり入れて煮込むだけ。
味付けは塩のみ。
これが不思議と、疲れた胃腸に染み渡る感覚がありました。
コトコト煮込んでいる湯気を見ている時間自体も、なんだか自分を労っている感じがして癒やされます。
「体に良いことをしている」という自己肯定感が、スープの温かさと一緒に体に満ちていくような体験でした。
料理が辛い日に救われた市販食品

どうしてもキッチンに立ちたくない日は、迷わず美味しいレトルトやインスタントに頼ります。
ここで重要なのは、スーパーの特売品ではなく、「自分を満足させるクオリティのもの」を選ぶことです。
「手抜きをしてしまった」という罪悪感を持たず、「あえて美味しいものを選んで食べている」と自分の脳を納得させることが大切だと感じています。
| 私のお助けアイテム | おすすめポイントと私の活用法 |
|---|---|
| 成城石井「スープ&ミー」シリーズ | 具がゴロゴロと大きくて満足感が凄いです。特にボルシチやクラムチャウダーは、家で作るのが大変なので「買ったほうが美味しい」と割り切れます。パンを添えれば立派なディナーになります。 |
| 無印良品「食べるスープ」シリーズ | お湯を注ぐだけのフリーズドライ。オクラなどのネバネバ野菜が入ったスープは、食欲がない時でもスルスル入ります。化学調味料不使用なのも、食べる時の安心感につながっています。 |
これらをストックボックスに入れておくだけで、「最悪、あれがあるから大丈夫」という心の余裕が生まれます。
数百円で心の平穏が買えるなら、私にとっては必要な投資だと割り切っています。
睡眠の質を求めて使ったグッズ

更年期に入ってから、夜中に何度も目が覚める「中途覚醒」や、布団に入ってもなかなか寝付けない悩みに直面しました。
睡眠不足だと、翌日の気力低下に直結します。
そこで睡眠環境を見直すことにしました。
強制的にスイッチを切る「ホットアイマスク」
私が試して一番良かったのは、充電式のホットアイマスクです。
使い捨てタイプも便利ですが、毎日使うなら充電式の方が経済的です。
私は肌触りを重視してシルク素材のものを選びました。
目元を温めると、強制的に視界が遮断されて、余計なことを考えずに済みます。
じわ~っと温かさが広がると、無意識に食いしばっていた奥歯や、眉間のシワが緩んでいくのがわかるんです。
スマホをダラダラ見てしまうのを防ぐ効果もありました。
「これを着けたら寝る時間」という入眠儀式にすることで、寝付きがだいぶスムーズになった気がします。
もちろん、これで不眠が完治するわけではありませんが、リラックスするきっかけとしては最適でした。
心地よい香りでリラックスした体験

イライラや不安感に襲われたとき、理屈抜きで気分をパッと変えてくれるのが「香り」でした。
アロマテラピーの詳しい知識はありませんが、直感で「いい匂い」と感じるものを選んでいます。
お風呂を「聖域」にするバスミルク
特にお世話になっているのが、ヴェレダ(WELEDA)のバスミルクです。
ドラッグストアの入浴剤よりは少しお高いですが、その分香りの深さが違います。
私が愛用しているのは「ラベンダー」。
お風呂に入れて深呼吸すると、胸のつかえが取れるような感覚になります。
家族の世話や仕事のトラブル、将来の不安など、頭の中のノイズを一旦シャットアウトできる時間。
お風呂上がりには、お気に入りのアロマオイルをティッシュに一滴垂らして枕元に置いています。
これだけで、寝室が自分だけのサンクチュアリ(聖域)になったような気分になれるんです。
気力が湧かない更年期と上手く付き合う
更年期はよく「トンネル」に例えられます。
今は暗くて先が見えなくて、不安で仕方ないかもしれません。
でも、トンネルには必ず出口があります。
今は無理に走って出口を目指そうとせず、懐中電灯を持ってゆっくり歩く時期なんだと自分に言い聞かせています。
気力が湧かないのは、体が「今は休む時だよ、無理しないで」と言っているサインです。
その声に従って、便利なモノやサービス、そして医療の力を借りながら、自分を一番大切にして過ごしていきましょう。
「今日は何もしなかったな」ではなく、「今日は自分を休ませてあげられたな」と思える日が、1日でも増えますように。
今日ご紹介した私の体験やアイテムが、同じ暗闇の中にいるあなたの足元を照らす小さな明かりになれば、これ以上嬉しいことはありません。
どうしても辛い気持ちが消えない、眠れない日が続くといった場合は、無理をせず公的なサポートや相談窓口を利用することも検討してみてください。
(参考:厚生労働省『こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト』)

コメント